ひっそりとREIT研究

不動産鑑定士によるJ-REIT専門サイトです。

【2020.5更新】5月 リート市況まとめと今後の見通し。INVが98%減益など。

[目次] 

2020.5 REIT市場全体まとめ&今後の見通し

 

REIT市場は2019年こそ堅調でしたが、2020年3月以降は新型コロナウイルス感染拡大の影響を大きく受けて、非常にボラティリティの高い相場が続いています。

 

2020年3月には日銀による追加金融緩和策の一つとして、REITの年間買入枠倍増(900億円→1,800億円)が発表され需給面では若干改善されつつありますが、今後はホテルや商業施設、オフィスの実需面での変化も予測されています。

 

当面はREIT市場は不透明と考えられますので、REIT市場全体の2020年5月の動きを簡単に振り返り、来月以降の見通しの参考になれば幸いです。

    

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東証REIT指数 5月終値は「1,701.03pt(前月比+7.9%)」

東証REIT指数(配当なし)は、4月末 の1,576.43ptから+124.60pt上昇し、上昇率は+7.90%となりました。

新型コロナウイルスの影響を大きく受けた2020.3.19の安値「1,145.53pt」からは+48.4%の大幅上昇となっています。

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投資部門別売買動向(4月末)

東証が公表した2020.4末の投資部門別売買動向は次の通りです。

■2020年3月の売買主体

売り:銀行

買い:個人、外国人投資家

 

■2020年4月の売買主体

売り:外国人投資家

買い:個人、銀行

 

「個人」は2020年3、4月と2ヶ月連続の買い越しで買い意欲が旺盛とみられ、日本人の個人投資家の特性と言われる逆張り志向が表れています。

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 ※ニッセイアセットマネジメントHPより

  

日銀の買い入れ

日本銀行が公表したJ-REIT買入額は「3月315億円」「4月200億円」でしたが、「5月95億円」と2020年3月に実施した追加緩和以前の水準に戻っています。

 

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日銀としては、市場の混乱が落ち着きつつあるという判断で買入を抑えているのかもしれません。ただし個人的には、予断を許さない状況で、市場には警戒感が残っていると思います。

 

特に気になるのは、オフィス系REITについてです。

リモートワーク推進がどこまで普及するかは見通しづらく、これまで賃料収入は右肩上がりで堅調だったオフィス市況に不透明感が漂っています。

東京・丸の内や大手町といった一等地オフィスについては需要の急激な減退は考えにくいですが、それ以外の地域については需要が見込みづらく二極化が進むと考えられます。

 

仮に空室率が上昇するようであれば、賃料を下げてテナントを募集することになるので、賃料収入及び分配金の減少という流れが懸念されますので、ポジションを調整するなどの対応が必要だと思います。

 

個別銘柄について

インヴィンシブル投資法人(INV)大幅減配

5月11日にインヴィンシブル投資法人が2020年6月期の業績予想を再び公表しました。

2月に公表した業績予想に対し▲98%減益を見込み、1口当たり分配金は30円と非常に厳しい見通しでした。

これを受けて投資口価格は、5月11日終値30,900円から、翌日は▲19%の25,000円で寄り付きました。

 

公表されたIRを要約すると、

INVが保有するホテル83物件のうち73物件を、マイステイズ・ホテル・マネジメント(スポンサーのフォートレスグループ)が運用しており、このホテル運用会社が新型コロナウイルス拡大の影響を受け経営破綻の危機に陥りましたが、当投資法人が固定賃料の全額免除等の措置を講じてこれを回避する、とのことです。

【プレスリリース】

https://www.invincible-inv.co.jp/news/upd/140120200511407937.pdf

 

個人的には、スポンサーがもう少し援助をして、REITに対して固定賃料くらいは支払うべきではないかと思いますが、いずれにしても非常に珍しい措置となりましたので、今後もREITの歴史に残るIRとなりそうです。

 

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 ※JAPAN-REIT HP

 

コロナ禍の影響が大きいホテル特化型・商業特化型、業績への影響未公表 4銘柄

新型コロナウイルス拡大の影響を大きく受けたREITでは、下記の銘柄で業績への影響が未公表となっています。

  

2020年3月以降の上昇相場では、株の持たざるリスクが大きく取り上げられていたこともあり、業績や影響を非公表とした銘柄のパフォーマンスが良かった傾向にあります。

 

しかし、前述のインヴィンシブル投資法人については、当初から減配が見込まれていたはずでしたが、プレスリリース発表の翌日には大きく値を下げました。

 

私自身も最近の上昇相場で盲目的に買いたい気持ちになりますが、市場で減配リスクが軽視される傾向を踏まえて、見送る又は大きく買い過ぎない等の対応が必要だと思います。 

 

 

今後の見通し

買いは活発化か

政府は5月25日に、新型コロナウイルス感染拡大防止のための緊急事態宣言を全国レベルで解除しました。また、東京都については、公表されているロードマップのステップ2へ移行しており、徐々にテナントの営業活動再開の目途が立ってきたと言えます。

 

REIT市場については、依然として続く低金利の中でREITの予想分配金利回りに着目した買いが活発化することも想定されます。

 

注目はホテル稼働率の開示

現状、大きな懸念となっているのはホテル・商業・オフィス系REITですが、直近の注目は6月22日-26日ころ発表されると思われる「ジャパン・ホテル・リート投資法人」の月次開示です。

仮に客室稼働率に回復の兆しが見られれば、市場に安心感を与えます。

 

なお、「ジャパン・ホテル・リート投資法人」については、2020年4月分のデータを用いて、将来の予想分配金毎に価値を算出した記事がありますので、よろしければご覧下さい。

  

以上、2020年5月のREIT市況まとめと見通しでした。この記事が皆様のお役に立てば幸いです。

【物件】福岡リート、2020.5にオフィスを取得。コロナ禍を考えるとやや強気の価格か。

[目次] 

2020.5 福岡リートがオフィスを取得

 

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福岡リート投資法人から、2020年5月29日に「東比恵ビジネスセンターⅢ」の物件取得完了プレスリリースが公表されました。

物件の規模自体は小さいですが、新型コロナウイルスの影響が注視されている時期ですから、物件の賃料利回りをIRから調べました。

 

少しマニアックな見方になりますが、物件取得IRは

  • 物件を高く買い過ぎていないか
  • スポンサーに有利な契約になっていないか

等々を確認できる重要なリリースだと思います。

 

時間が無い方でも鑑定評価書の概要をチェックすることで、賃料や利回り感を把握でき、妥当な鑑定評価額で取得できているのか把握することが出来ます。

今後の物件取得リリースを読む際にも活かせると思いますので、ご参考になれば幸いです。

 

  

物件取得時は鑑定評価書が公表される

 

REITが物件を取得する際には、主に投資家保護の観点から「不動産鑑定評価書」のデータが公表されます。

今回のプレスリリースにも下記の通り記載がありました。

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福岡リート投資法人HPより

   

赤枠の鑑定評価額には、3,290,000千円と記載があります。

福岡リート投資法人の全物件の取得価格は、今回の取得分を合わせて約2,001億円となり、本物件32.9億円は1.6%程度のウエイトになります。

ポートフォリオとして見た場合の比率は大きくありませんが、新型コロナウイルス拡大後では初めての物件取得ですので、取り上げました。  

 

REITと取得物件の概要

 

■ 福岡リート投資法人について

九州地域を主要投資対象とする地域特化型REITで、アセットは商業施設やオフィス、物流施設、ホテル等と幅広く、REIT市場において独特な立ち位置にある尖ったREITといえます。

 

格付については、R&Iより「A+(安定的)」、JCRより「AA-(安定的)」を取得していて、日本銀行も投資口を保有しています。

 

足元の投資口価格はNAV倍率0.8倍程度の水準で、2020年6月時点では投資家からの評価は高いとは言えません。

詳しくは下記のサイトが確認されることをお勧めします

www.japan-reit.com

 

 

■ 今回の取得物件について
福岡市博多区の「東比恵」駅の新築オフィスです。
立地的には「博多」駅と「福岡空港」駅の中間駅であり交通利便性がある一方で、従来から繁華性が劣る地域であるため、オフィス需要が旺盛とはいえません。
 
オフィス市況が好調のうちは問題ないと思いますが、一転悪化した際にテナントが退去しないか、賃料水準を今のまま維持できるのかといった点が懸念されます。
 

【価格】コロナ禍を考えると、やや強気。

REITが取得するような収益不動産の価格は、収益価格で形成されます。

馴染みのない言葉かと思いますが、この価格は運営収益から運営費用を引いた純収益を利回りで割り戻すことで算出されます。

 

物件価格=純収益 ÷ 利回り

 

この式の通りで、例えば物件価格を上昇させるには、

  • 分子の「賃料(≒純収益)」を上げる
  • 分母の「利回り」を低くする(例:5.0%→4.0%へ下げる)

 の2通りしかありませんので、この2点に分解して価格の妥当性を検証したいと思います。

 

先ず結果としては、賃料・利回りとも新型コロナウイルス前の水準に近いという印象で、福岡リートとしては今後の市況を比較的強気に捉えているのかなと思います。

また、今回はスポンサー取引であり、スポンサーの力がやや強い取引という印象を持ちました。

ただ、福岡リートは地域の成長を取り込める珍しいREITですので、次の物件取得にも注目したいと思います。

 

賃料について

現在の賃貸借契約と鑑定評価書の概要を比較しました。

(賃料単価は開示されていませんので、推定となります)

入居して間もないテナントですが、鑑定評価書はさらに強気の賃料単価を想定しており、コロナ禍の影響が不透明な現状では強気の設定と見受けられます。

 

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なお、”博多駅東口オフィス”の賃料単価で15,000~17,000円/坪が中心ですので、現行賃料16,000円/坪は”東比恵エリア”では高位な水準にあります。

 

www.cbre-propertysearch.jp

   

利回りについて

 

本物件の鑑定評価書では、還元利回り 4.3%となっていますが、他の公表されているREIT物件と比較して水準を把握します。

  • 東比恵ビジネスセンター 4.5% (2020.2時点)
  • 東比恵ビジネスセンターⅡ 4.5% (2020.2時点)
  • いちご博多イーストビル 4.4% (2019.10時点)

 

上記と比較すると、 利回りがやや低いかなと感じます。

もちろん、賃料水準の程度によって利回りは変わるものなので一概には言えませんが、仮に横並びとした場合は利回りが強気水準という印象を受けます。

 

価格について

近年、不動産市況は好調で、福岡市内については全国的に見ても上昇率上位の部類に入りますから、福岡リートは物件取得に苦慮していると思われます。

 

一方、今回は新型コロナウイルス拡大の状況下での契約締結だったので、投資家保護の観点から状況が少し落ち着いてからの取得の方が、納得感が得られたかもしれません。

 

[ まとめ ]  まず賃料と利回りを確認

 

不動産の賃料は通常は公表されない貴重な情報ですが、REITには公表義務がありますので有効に活用すべきです。

また、日本のREITはガバナンスの問題(スポンサーとの利益相反)がよく指摘されます。

たまにスポンサーの都合でREITに物件を押し付けているのではと勘繰りたくなる案件もあります。REIT投資家としては、高く買わされていないかを継続的にチェックする必要があると思います。

 

www.japan-reit.com

 

なお、今回は物件価格が強気という判断でしたが、実質的には福岡リートの分配金にはほとんど影響しません。

賃料収入の約30%はキャナルシティ博多という商業施設に依りますので、そちらの影響が圧倒的に大きいです。

 

今回の物件取得に関しては以上です。

今後は、過去に印象的だった物件取得なども纏めたいと思っています。

この記事が皆様のお役に立てば嬉しいです。

、●が理由で破綻し、不動産市場は長年にわたり低迷することとなります

【売上】天神のホテル、2020年4月売上▲84%に。博多も▲88%。回復は天神からか。

[目次] 

REIT保有ホテル 2020年4月の月次が開示された。

 

 

ジャパン・ホテル・リート投資法人といちごホテルリート投資法人から、2020年4月分のホテル月次が公表されました。

不動産業界ではホテルの稼働率ADRといった指標は、競合ホテルとの競争等において重要な要素であるため、中々公表されません。

 

近年はREIT市場の拡大に伴い、IR拡充の観点から有用な情報の開示が増えていますので、ご自身の投資方針を検討する上で参考とするべきです。

 

本記事では外国人観光客で賑わっていた福岡市の2大地区、「天神」「博多」のホテル月次開示から、2020年以降の新型コロナウイルスによる影響を考えます。

 

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福岡県 緊急事態宣言は4/7-5/14

 

福岡県の緊急事態宣言は2020年4月7日から5月14日までの計38日間でした。

地理的に韓国や中国に近接しており、外国人観光客による宿泊需要が旺盛でしたが、今回のコロナ禍により「天神」「博多」の観光客は激減しています。

  

「天神」ヴァリエホテル天神、「博多」ザ・ビー博多が開示有り

 

【概要】ホテル売上は、前年比で天神▲84%、博多▲88%

天神・博多のホテルで稼働率や売上の開示があるREITを探すと、ジャパン・ホテル・リート投資法人といちごホテルリート投資法人が該当しました。

  

なお、ジャパン・ホテル・リートは開示方法がやや特殊なため、博多地区では今回把握できたザ・ビー博多で検証しました。

2019年8月からのグラフで、どちらも大きく下落していますが、ザ・ビー博多の方が落ち込みが大きいことが分かります。

 

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この要因としては、ザ・ビー博多の立地と博多駅の特性だと考えていますが、まずはそれぞれのホテルの簡単な概要をご紹介します。

 

ヴァリエホテル天神(いちごホテルリート)

天神は百貨店やアパレル専門店等が集積しており、福岡の中心といっても過言ではありません。

また、歓楽街の中洲に徒歩でアクセスできることから、外国人宿泊客の大半は博多より天神に宿泊することが多いと思います。

 

ヴァリエホテル天神は駅西方のホテル激戦区に位置していますが、旺盛な宿泊需要を背景に安定的に稼働しています。

建物自体は1994年竣工のため古いですが、競争力に陰りは見られません。 

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ザ・ビー博多(ジャパンホテルリート)

博多駅天神駅と比較するとオフィス街のイメージが強いです。

博多駅周辺では福岡市の施策を背景に、築古のオフィスの建替えが進んでいて、土地の入札ではホテルデベロッパーが高値で落札しています。

現在、筑紫口(駅東口)ではアパホテルが数棟同時並行で建築中です。

 

ザ・ビー博多は競合ホテルが多数存する筑紫口から、さらに少し歩くので立地的競争力はあまり高くありません。売上は2019年11月から緩やかに減少しており、2020年4月売上は対前年比▲88%と苦戦しています。

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ちなみに、ジャパン・ホテル・リートは筑紫口にもう一棟、”オリエンタルホテル福岡博多ステーション”というホテルを保有して、筑紫口を出てすぐの好立地にあります。

こちらのホテルはザ・ビー博多と異なり、コロナ禍での営業方針はADRをできるだけ横這いとし、稼働率を大幅に落としているようです。

2020年4月のKPIは、ADR12,112円、稼働率5.7%でした。

ブランドイメージを大事に、リネン費などの運営コストを考慮した戦略だと思われますが、思ったより大胆な方針です

  

2019年9月の日韓関係悪化では▲10%程度

新型コロナの衝撃ですでに記憶が消えかけている方も多いと思いますが、2019年9月頃に日韓関係の悪化に伴い、福岡への訪日韓国人が減少しています。

 

それまで好調だったホテルの稼働率ですが、韓国人観光客の減少により上記ホテルを含め稼働率が▲10%ほど落ち込みました。

幸いなことに事態は1-2ヶ月ほどで収束しましたが、今回の新型コロナはもう少し長引きそうです。

当時の客足の回復については、上記ホテルを見ると「天神から回復し、博多も徐々に戻る」という傾向が観察できます。

 

[まとめ] 2020年4月は想定通り苦戦。回復は天神エリアからか。

 

過去の日韓関係悪化を教訓とすれば、宿泊客は天神エリアから回復していく傾向にありますから、月次開示を継続的に観察して、ホテル業界の回復をいち早く察知したいです。

 

2020年3月以降は、J-REIT投資口価格が乱高下していて、中でもホテル関連のREITの値動きの荒さは際立っています。

ホテル売上は分配金支払いの原資となりますから、定期的に確認して記事にしたいと思います。  

今回の記事が皆様のお役に立てば幸いです。

、●が理由で破綻し、不動産市場は長年にわたり低迷することとなります

【資産配分】2020年5月PF。REITは高値圏のため3年は我慢。

[目次] 

REITは買えていない・・! 

 

R・ビフェットです。不動産鑑定士をしています。

2020年5月時点の私の資産運用にはREITを組み入れていません。

正直すぐにでもREITを組み入れたいのですが、高値圏で買えていません。

 

不動産価格は景気変動に敏感であり、おおよその価格サイクルを掴むことが肝要です。

そこで、REIT(≒不動産)の買い時はいつなのかを筆者の目線からお伝えします。  

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資産配分について

 

私の資産運用は著名投資家 バフェット氏の影響を大きく受けており、中でも

  • 自分が理解できる分野に投資する
  • 損をしないこと

を特に心に留めています。

 

恥ずかしい話ですが、

2016年にはテクニカル分析を自称して、バイオ株のアキュセラを購入していたことがあります。

今では当時の大損経験を活かして、あらかじめ定めた次の資産配分を目安としています。

<目安>

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<2020年5月時点>

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2020年4月末時点では株式が90%と最大です。

REITの記事を書いている当サイトですが、REIT比率は現状0%です。

 

理由は、先の通り高値圏にあると考えているからであり、

REITの制度面での優位性や保有物件の質を否定しているわけではありません。

実際、京阪神ビルディング㈱という不動産を保有・賃貸している会社に対し、2018年6月総会にて㈱ストラテジックキャピタルという会社が、次のような提案をしています。

・株主価値向上の観点からREITを設立するべきであること

㈱ストラテジックキャピタル「京阪神ビルディングの株主価値向上に向けて」HP

 

株式会社には法人税が課されますが、REITであれば要件を満たすことにより租税回避が可能です。

税制面での利点はREITの大きな強みであり、資産運用の一部に組み入れるべきだと考えています。

  

REITの買い時とは

 

【結論】不動産の価格サイクルが下降局面に入ってから

REIT金融商品の側面を有していますが、基本的には不動産市場に連動します。

不動産価格(土地価格)は次の通り推移すると考えています。

  • 長期的には「地方都市部から下落が始まり、その後都心部から回復」
  • 短期的には「分からない」

短期的な投資口価格は主に需給により決まりますが、そこは専門外ですので、長期的な価格形成の理由を記載します。

  

不動産は景気変動に非常に敏感

まず不動産全般に言えることですが、非常に景気に敏感であるという特徴があります。

不動産価格は概ね景気に連動して上昇し、景気後退局面では同じように緩やかに下落します。

つまり株式と同じく、景気変動の影響を大きく受けて価格が上下しやすい資産です。

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このグラフは「日経平均と不動産価格指数(東京都)」で、日経平均よりは緩やかですが概ね連動して推移しています。

REITと現物不動産は違うという意見はあるかと思いますが、基本的にはほとんど変わりありません。

REITが不動産を購入する際は、他の不動産業者と同じ土俵の入札に参加しますし、売却時にも他の業者と同様の手順を踏みます。

  

よって好不況により、REITが物件を安く買えるか高く買えるかが決まります。 

 

この好不況のタイミングを完全に計ることは出来ませんが、大きくゆったり動く価格の流れは数々の指標から読み取ることが出来ます。

幸い、日本には地価公示法という法律の下、国土交通省土地鑑定員会から地価公示が公表されますから、どのような変動をしているかが一目で分かり、高値圏を警戒することが出来ます。

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    ※国土交通省HPより

 

実際の価格推移(銀座のとある地点)

東京都中央区の銀座地区で、1986年から継続的に地価公示のポイントとなっている地点があります。東急プラザの東方に位置するポイントで、実際に確認すると次の通り上昇と下落を周期的に繰り返していることが分かります。

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一度下落が始まると翌年V字回復とはならず、ずるずると弱気な価格推移となります。

これは主に、不動産が下落している場合は株式などの他の資産も下落している場合が多く、利回り面での優位性が薄れ、裁定取引が働いているからだと考えられます。

また、不動産の買い手は事業会社などの法人がメインであり、直近下落に買い向かう意思決定が困難なことも考えられます。逆張り的な思考は、法人にとってはかなり大胆な経営方針で、それなりの責任が伴いますので、慎重にならざるを得ません。

 

一方、個人投資家は経営責任がありませんので、逆張りを自分が耐えうるリスクに応じて行うことが可能です。

下落トレンドは数年続く可能性が高いので、焦って飛びつくことにならないよう落ち着いて判断したいです。

 

目安としては少なくとも2~3年、長ければ5年の下落と考えて、筆者は買い向かう準備をしています。 

  

例外:一時的な要因で落ち込んだアセット

2020年1月以降、新型コロナウイルス拡大に伴う懸念が広がり、株式市場及びREIT市場に大きな影響が出ています。特にオフィス・ホテル・商業などは大きく売り込まれています。

 

暴落したアセットの中には、市場が悲観的になり過ぎているものもあり、筆者個人の考えではホテルが売られ過ぎだと考えています。

宿泊需要は今後永久に無くなるとは考えづらく、立地がいいホテルから徐々に稼働率は回復していくはずです。

ホテル系REITは変動賃料を組み込んでいるREITが大半で、稼働率の上昇に伴い分配金も2019年末の水準に回復すると、自然に投資口価格も上昇すると考えられます。

 

ただ、この考え方は逆張り寄りのため、REIT本来の分配金を着実に受け取るスタイルとはやや異なります。

インカムゲインに加えて、中期的なキャピタルゲインを得ることを目的とするため、資産に対して少額とする必要があると思います。

 

さらに、土地価格が下落局面になればホテルも影響を免れないため、ここでも注意が必要です。

 

以前に例としてジャパン・ホテル・リート投資法人の投資口価格を検証しました。

【検証】8985 ホテルリートの本質価値、コロナ契機に5割減!? - ひっそりとREIT研究

 

[まとめ]不動産市況にはサイクル有。落ち込んだホテルは買い場の可能性。

REITへの投資は地価公示などの制度を活用して、おおよその市況サイクルを把握する必要があります。

ちょうど底値のタイミングで買うことは難しいですが、高値掴みをして含み損を抱え続けることは回避可能だと思います。

 

そして、2020年の新型コロナウイルスによる影響を大きく受けているアセットについては、例えば回復が見込める好立地ホテルなどに少額づつ投資するということも有効だと考えています。

 

なお、投資する場合にはご自身の許容する範囲に留め、事前に試算されることをお勧め致します。

今回の記事が皆様のお役に立てば幸いです。

、●が理由で破綻し、不動産市場は長年にわたり低迷することとなります

【検証】8985 ホテルリートの本質価値、コロナ契機に5割減!?

[目次] 

ホテル系REITが売られている・・

R.ビフェットです。

新型コロナウイルス拡大の影響を受けて、ホテル系REITが大きく売り込まれています。

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2019年末までは旺盛なインバウンド需要を背景に、ホテル建設ラッシュが続いていました。ホテル特化型REITは好調なホテル業績を受けて、投資口価格も緩やかに上昇基調を描いていました。

 

しかし、感染拡大対策によるインバウンド需要及び出張需要の激減が予測され、2020年に入り急落。以降、2020年3、4月と開示されるホテル稼働実績は壊滅的です。

 

本記事では今後もホテルREITは低迷を続けるのか否かについて、日本最大のホテル特化型REIT「ジャパン・ホテル・リート投資法人」を例に検証します。

 

8985 ジャパン・ホテル・リート投資法人とは?

  

2006年6月に上場した日本最大のホテル特化型REITです。運用資産は2019年12月末時点で、43物件3,745億円(取得価格ベース)となっています。

投資口価格は下記の通り、▲55.7%急落しています。 

2019年12月末の終値81,200円

2020年4月末の終値36,000円

 

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※ジャパン・ホテル・リート投資法人HPより

今後、投資口価格の反転は期待できるのかを、ホテル賃料収入の観点から検証しました。  

 

【結論】数年後に変動賃料の回復を想定すると、本質価値40,000円以上か

投資口価格は次の通り推移すると考えています。

  • 短期的には「分からない」
  • 長期的には「変動賃料の回復に伴い、本質価値へ収斂」

短期的な投資口価格は主に需給により決まりますが、そこは専門外ですので、長期的な価格形成の理由を記載します。

  

本質価値について

投資口価格の乱高下はいつ収束するかは分かりませんが、長期的な視点に立てば本質価値に収斂していきます。 

バリュー投資の父であるグレアム氏は次の通り述べています。

「短期的にみるとマーケットは投票機にすぎないが、長期的で見れば計量器だ」

※「バフェットからの手紙」より引用 

 

では、本質価値とはなにかですが、

ここでは「不動産が将来生み出す現金の割引現在価値」として進めます。

具体的には、将来見込まれるホテル賃料収入を、割引率で割り引いて投資口価格を求めましょう、ということです。

 

バフェット氏は、本質価値とは推定要素が含まれるため幅を持つものと語っています。

今回は想定する価値に幅を持って算定するため、3パターンに分けて試算します。(※筆者の主観のため、絶対的な数字ではありません。ご留意ください。)

  

ホテル賃料収入の予想

・前提

保有期間5年

売却時は直近の分配金が維持されるものとする

新規取得物件及び売却物件はない

破産はしない

 

■パターン1(ニュートラル)

2020年~2022年まで変動賃料が減少、その後は100%水準(=2019年)に回復

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直近の決算では、2020年12月末予想の賃料収入は固定賃料60%・変動賃料40%程度の割合で構成されています。

月次稼働を見る限り、少なくとも2020年中は苦しい状況が見込まれるので、賃料収入は上記グラフの通りとしました。固定賃料は2020年のみ10%減少を想定しました。

 

なお、2023年以降の変動賃料についてですが、著者としては回復すると見込んでいます。

ジャパン・ホテル・リート投資法人保有物件は、大半がネームバリューのある駅近の競争力を有する物件であり、宿泊需要の回復を早い段階から享受すると思われるためです。

 

なお、他のホテル系リートには競争力が劣ると考えられる物件もあり、この場合はもっと保守的に想定する必要があります。

 

以上の賃料収入に基づき分配金を計算すると、下記表の通り見込むことができます。

割引率については、2019年末の分配金利回り約5.0%から約4割保守的として、8.0%を採用しました。(バフェット氏の安全域の考え方を参考としています)

 

結果、左端黄色の40,032円が本質価値の考えに基づいた投資口価格です。

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■パターン2(ネガティブ)

変動賃料に加えて固定賃料も減額され、2024年でも以前の84%程度までしか回復せず

と想定した場合です。

この場合、固定賃料▲20%を考慮していますが、ホテルリートのオペレーター属性は優良といえますので、保守的な想定といえます。

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結果は下記、左端黄色の31,235が本質価値の考えに基づいた投資口価格です。

5年後の売却時においても2019年~2020年予想水準まで回復せず、さらに固定賃料の▲20%減額をも許容した試算です。

将来は分かりませんが、現時点の情報では賃料・割引率ともにかなり保守的な試算と言えます。

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■パターン3(ポジティブ)

2020年、2021年のみ変動賃料が落ち込み、その後V字回復

と想定した場合です。

投資法人保有する物件の質を勘案すれば、楽観的すぎることはないと考えています。(旅行需要が回復すれば、真っ先に予約で埋まるであろうホテルばかりです)

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結果、左端黄色の42,016が本質価値の考えに基づいた投資口価格です。
ニュートラルの場合と近しい結果となりました。

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直近の投資口価格の推移
2020年3月19日に24,320円の安値を付けた後、2020年4月末時点で36,000円まで回復しています。
ただし、デット・キャット・バウンスという言葉もあるように、一時的な反発である可能性にも留意が必要です。 
 

 

[まとめ]

筆者の試算では、本質価値(40,032円)と投資口価格(36,000円:2020年4月末終値)の乖離は約+11%です。

短期的には投資口価格は乱高下すると想定されるため、この乖離がどう変動するか注視したいと思います。

 

なお、楽観的に検証した場合でも本質価値への影響が小さかったのは、売却時の賃料想定が同じであったためです。保有中の分配金よりも売却時の分配金の方が、5年という保有期間においては重要であることが分かります。

よって、いつ宿泊需要が回復するかより、将来的にどの程度回復するかの方が、本質価値に大きな影響を与えます。

 

REITへの投資を考えている場合には、短期的な急落時にしっかり買い向かっていくことができるよう、事前に自身が満足できる購入水準を把握する必要があります。

 

今回の試算は比較的堅実な試算をしていますが、投資家各自の期待する利回りは異なりますので、投資する場合にはご自身の許容する範囲で事前に試算することをお勧め致します。

今回の記事が皆様のお役に立てば幸いです。

、●が理由で破綻し、不動産市場は長年にわたり低迷することとなります

【特徴】不動産で資産運用するなら、押さえるべき基本

 [目次] 

不動産の特徴

不動産は資産性が高く、古くからその価値が認められてきました。

かつては「土地転がし」と呼ばれる財テクが流行していたように、土地を所有しているだけで価値が上昇していくという考え方がありました。 

しかし、1990年代のバブル崩壊後は不動産価格の低迷が続いています。

2013年頃から現在まで、アベノミクスによる恩恵を受けて地価は回復していますが、それでもバブル期の水準には達していません。

 

そこで、代表的な資産運用先である株式との比較を踏まえ、「資産としての不動産」の価値を再認識したいと思います。

不動産の特徴を踏まえ、資産運用先の一つとして一考して頂ければ幸いです。

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株式と比較し、価格変動が少ない
株式は簡単に売買できることから、流動性が非常に高いです。
しかし、不動産の場合は簡単に売買ができず、少なくとも数ヶ月を要します。近年は、REIT(リート)市場(※)の拡大により、REITの投資口であれば即日処分することが可能ですが、それでも株式市場に比して取引量は少なく、流動性は低いといえます。
 
(※)REIT(リート)とは不動産投資信託の略称です。要点を別記事にまとめました。
下記は、1984年を起点とした価格推移のグラフです。
青色の日経平均に比べ、赤色及び橙色の不動産価格指数(東京都)は変動が小さいことが分かります。
なお、不動産価格指数とは、国土交通省及び東京都不動産鑑定士協会HPで公表されている現物不動産の指数です。
REIT(リート)市場が創設された2001年より前のデータを把握するため、この指数を採用しました。
 
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余談ですが、1986年(昭和61年)の流行語には、「土地転がし」が入っていました。

不動産業者等が次々に土地を買い、高値で転売することをいいます。

しかし、不動産融資の規制(不動産融資総量規制)等が理由で土地価格の上昇は続かなくなり、不動産市場は長年にわたり低迷することとなります。

 

収益を生む

近年の主な資産運用先としては次のようなものが挙げられます。

① 株式

② 債券

③ 不動産

④ 金

 

上記のうち、「④ 金」のみ性質が異なり、保有していても収益を生み出しません。

著名投資家であるウォーレン・バフェット氏は、金については投資しないというスタンスを貫いています。 

「けっして何も生み出すことがないものの、将来誰かがもっと高い価格で買ってくれることを期待して買われている資産」

(バフェットからの手紙より) 

という理由からです。つまり完全な値上がり(キャピタルゲイン)目的ということです。

 

対して、「① 株式、② 債券、③ 不動産」は収益を生み出します。

特にバフェット氏は① 株式と③ 不動産について、「生産的な資産」として好んで投資しています。

同氏の株式投資についての輝かしい実績は誰もが知るところですが、実は不動産(農場やREIT)への投資も行っていました。

一つ、実際の農場の事例を紹介します。

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バフェット氏

「農場への投資については、特別な知識や知能がなくても、デメリットはないのに大きな可能性があることは分かりました。」

 ※「バフェットからの手紙」より引用 

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「生産的な資産」としての農場の魅力は、農場そのものの価格が上がることに加え、生み出される作物の収益も向上する点です。上記の事例では、当初の購入価格28万ドルに対し、2016年時点の収益は8.4万ドルと、1年で約30%の収益となっています。

仮にインフレが進行したとしても、農場から生み出される作物の値段も上昇するため、インフレに負けない資産として安定した収益が見込まれます。

 

地理的に一つ

不動産の特徴として、私が最も大事だと思っている点です。

当然の話ですが、土地は動かすことができないため”不動産”と言います。言い換えると、他では代替が出来ない唯一の資産ということです。

 

ビジネスの世界では、独占禁止法なる公正・自由な競争を促進する法律がありますが、不動産はその性質上、法律による制限がなく独占的な利用が可能です。

例えば、銀座に土地が欲しい人は沢山いますが、だからといって銀座の土地を増やすことは出来ません。物理的に不可能だからです。

 

この不動産の特徴をうまく活用してビジネスを展開している企業がいくつか存在します。この点については、別記事にて纏めております。

 

担保価値が高い

不動産の、とりわけ現物不動産については、この担保価値が非常に高く、融資を受けることが可能です。株式についても信用取引という形式で元本価値以上の資産を購入できますが(=レバレッジを効かせることができる)、不動産の方が有利です。

不動産市況が好調であった2010年代は、「フルローン」「オーバーローン」という元本がほぼ不要で不動産を購入することが可能でした。

ただし、資産運用という観点からはおすすめ出来ません。借入金利の変動や家賃収入の減少といったリスクがあるためです。

 

融資する銀行側から見ると、不動産の担保価値がそれほど高いです、という点をお伝えするために記載しています。

株式と比較するとこの点も大きく異なる点です。

 

[まとめ]

基本的な特徴ではありますが、”不動産”という資産を考えるうえで重要なことを纏めました。

資産運用といえば”株式”というイメージがありますが、”不動産”は株式とはまた異なった性質の資産です。

著名投資家のバフェット氏は、株式の運用において好成績を上げ続けて現在の地位を築かれていますが、実は上記の農場や他のREITにも投資をしております。

 

バフェット氏や他の著名投資家の不動産投資を参考に、私の本業である不動産鑑定士としての知識を活用して、”資産運用としての不動産”に関する記事を今後も投稿しますので、是非ご一読頂ければ幸いです。

、●が理由で破綻し、不動産市場は長年にわたり低迷することとなります

【比較】絶対押さえたい”REIT(リート)”の基本と分配金の威力

[目次] 

REIT(リート)とは?

REITとは、不動産投資信託であり、Real Estate Investment Trustの略称です。

資産運用先として”不動産”を考える場合、少額から投資できるという利点から、多くの方がREITを検討することになると思います。

そこで、REIT制度の概要や創設された背景を踏まえ、今一度”株式”と”REIT”の違いをしっかり把握し、それぞれの利点を活かせるように運用しましょう。

 

制度の概要

元々は、1960年代にアメリカで誕生した制度ですが、2001年に日本にも類似の制度が創設されました。

ただし、完全に同様の制度ではないため、米国REIT(REITs)に対して日本のREITという意味で”J-REIT”(ジェイリート)と呼ばれています。 

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  ※一般社団法人投資信託協会より引用 

 

創設された目的としては、

 

などが教科書的な説明とされています。

 

実際のところは、創設された2001年当時は、いわゆる”土地神話”が崩壊した後であり、不動産の買い手が不在でした。

そのため、REITを通して広く投資家から資金を募り、不動産市場を安定させることが大きな目的だったと考えられます。

 

なお、2020年現在は、好調な不動産市場を背景に、REIT市場は拡大の一途をたどっています。銘柄数、時価総額ともに増加傾向にあり、アセットの種類も多岐にわたります。

これからは、投資家からの資産運用先としての受け皿の役割が期待されることになり、役割が大きく変わりつつあります。

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REITと株式との比較

大まかな違いは、「不動産のオーナーになる」か「会社のオーナーになる」かというイメージで把握しておけば問題ないと思います。

厳密には根拠となる法律が異なりますので、用語の使い分けがあります。また、税制面では、REITは要件を満たせば法人税が発生しない、という利点があります。
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今後もよく見かけるであろう用語を簡単にまとめました。「投資主≒株主」として頭で置き換えることにより、混乱を防げると思います。
  f:id:vifetto:20200506170254p:plain
 
この他にも違いはありますが、当サイトでは「REITから得られるリターン」に焦点を当てていきます。
さらに仕組み等を知りたい方は、下記HP(一般社団法人不動産証券化協会)を参考にされることをお勧め致します。
 
東証REIT指数TOPIXの価格変動
東証REIT指数とは、東京証券取引所に上場するJ-REIT全銘柄を対象とした時価総額加重型の株価指数で、簡単にいえば「TOPIXREIT版」と認識しておけば大きな問題はありません。
 
2003年3月31日を基準日とし、その日の時価総額を1,000ポイントとしてその後の時価総額を指数化されています。
新規上場や増資などの影響は調整されていますので、REIT市場の推移を把握するのに適した指数です。
 
REITのメリットは「分配金利回りの良さ」と言っても過言ではなく、その影響が表れているグラフが下記になります。
配当なしの比較では「TOPIXREIT指数」となっていますが、配当を加味すると逆転していることが分かります。
 
■配当なし
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   ※一般社団法人不動産証券化協会HPより
 
■配当込み

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   ※一般社団法人不動産証券化協会HPより
 
また上記のグラフから、REIT指数とTOPIXの「逆相関」についても読み取ることができます。
両指数とも2009年付近を底として緩やかな上昇を描いていますが、上昇の過程においてTOPIXが下がれば、REIT指数が上がるいう関係性が見られます。
 
2020年以降のコロナ禍局面においては、市場の恐怖感が一気に高まり同時安となりましたが、過去の推移を考えると今後も価格の逆相関は機能するように思います。
 

[まとめ] 

REITと株式は根拠となる法律が異なるため、用語などの相違点は認識する必要がありますが、大まかに捉えることが出来れば問題ありません。

より大事なのは、資産運用の観点から株式と比較することです。

上記の通り「REITの分配金込み」で考えると、REITは魅力的な運用先と言えますので、株式同様に検討するべきだと思います。

 

ただし、REIT自体が不動産の投資信託であることから、REIT指数連動型のETFはおすすめ出来ません。信託報酬が二度発生するためです。

 

よって個別銘柄を選択し、運用することとなりますが、その際にアセット(用途)毎の特徴を把握する必要があります。

別記事にて、アセット毎の特徴や今後の見通しを記載しますので、銘柄選択にお役立て頂ければ幸いです。

 

、●が理由で破綻し、不動産市場は長年にわたり低迷することとなります