【特徴】不動産で資産運用するなら、押さえるべき基本
[目次]
不動産の特徴
不動産は資産性が高く、古くからその価値が認められてきました。
かつては「土地転がし」と呼ばれる財テクが流行していたように、土地を所有しているだけで価値が上昇していくという考え方がありました。
しかし、1990年代のバブル崩壊後は不動産価格の低迷が続いています。
2013年頃から現在まで、アベノミクスによる恩恵を受けて地価は回復していますが、それでもバブル期の水準には達していません。
そこで、代表的な資産運用先である株式との比較を踏まえ、「資産としての不動産」の価値を再認識したいと思います。
不動産の特徴を踏まえ、資産運用先の一つとして一考して頂ければ幸いです。
株式と比較し、価格変動が少ない
余談ですが、1986年(昭和61年)の流行語には、「土地転がし」が入っていました。
不動産業者等が次々に土地を買い、高値で転売することをいいます。
しかし、不動産融資の規制(不動産融資総量規制)等が理由で土地価格の上昇は続かなくなり、不動産市場は長年にわたり低迷することとなります。
収益を生む
近年の主な資産運用先としては次のようなものが挙げられます。
① 株式
② 債券
③ 不動産
④ 金
上記のうち、「④ 金」のみ性質が異なり、保有していても収益を生み出しません。
著名投資家であるウォーレン・バフェット氏は、金については投資しないというスタンスを貫いています。
「けっして何も生み出すことがないものの、将来誰かがもっと高い価格で買ってくれることを期待して買われている資産」
(バフェットからの手紙より)
という理由からです。つまり完全な値上がり(キャピタルゲイン)目的ということです。
対して、「① 株式、② 債券、③ 不動産」は収益を生み出します。
特にバフェット氏は① 株式と③ 不動産について、「生産的な資産」として好んで投資しています。
同氏の株式投資についての輝かしい実績は誰もが知るところですが、実は不動産(農場やREIT)への投資も行っていました。
一つ、実際の農場の事例を紹介します。
バフェット氏
「農場への投資については、特別な知識や知能がなくても、デメリットはないのに大きな可能性があることは分かりました。」
※「バフェットからの手紙」より引用
「生産的な資産」としての農場の魅力は、農場そのものの価格が上がることに加え、生み出される作物の収益も向上する点です。上記の事例では、当初の購入価格28万ドルに対し、2016年時点の収益は8.4万ドルと、1年で約30%の収益となっています。
仮にインフレが進行したとしても、農場から生み出される作物の値段も上昇するため、インフレに負けない資産として安定した収益が見込まれます。
地理的に一つ
不動産の特徴として、私が最も大事だと思っている点です。
当然の話ですが、土地は動かすことができないため”不動産”と言います。言い換えると、他では代替が出来ない唯一の資産ということです。
ビジネスの世界では、独占禁止法なる公正・自由な競争を促進する法律がありますが、不動産はその性質上、法律による制限がなく独占的な利用が可能です。
例えば、銀座に土地が欲しい人は沢山いますが、だからといって銀座の土地を増やすことは出来ません。物理的に不可能だからです。
この不動産の特徴をうまく活用してビジネスを展開している企業がいくつか存在します。この点については、別記事にて纏めております。
担保価値が高い
不動産の、とりわけ現物不動産については、この担保価値が非常に高く、融資を受けることが可能です。株式についても信用取引という形式で元本価値以上の資産を購入できますが(=レバレッジを効かせることができる)、不動産の方が有利です。
不動産市況が好調であった2010年代は、「フルローン」「オーバーローン」という元本がほぼ不要で不動産を購入することが可能でした。
ただし、資産運用という観点からはおすすめ出来ません。借入金利の変動や家賃収入の減少といったリスクがあるためです。
融資する銀行側から見ると、不動産の担保価値がそれほど高いです、という点をお伝えするために記載しています。
株式と比較するとこの点も大きく異なる点です。
[まとめ]
基本的な特徴ではありますが、”不動産”という資産を考えるうえで重要なことを纏めました。
資産運用といえば”株式”というイメージがありますが、”不動産”は株式とはまた異なった性質の資産です。
著名投資家のバフェット氏は、株式の運用において好成績を上げ続けて現在の地位を築かれていますが、実は上記の農場や他のREITにも投資をしております。
バフェット氏や他の著名投資家の不動産投資を参考に、私の本業である不動産鑑定士としての知識を活用して、”資産運用としての不動産”に関する記事を今後も投稿しますので、是非ご一読頂ければ幸いです。