ひっそりとREIT研究

不動産鑑定士によるJ-REIT専門サイトです。

【比較】絶対押さえたい”REIT(リート)”の基本と分配金の威力

[目次] 

REIT(リート)とは?

REITとは、不動産投資信託であり、Real Estate Investment Trustの略称です。

資産運用先として”不動産”を考える場合、少額から投資できるという利点から、多くの方がREITを検討することになると思います。

そこで、REIT制度の概要や創設された背景を踏まえ、今一度”株式”と”REIT”の違いをしっかり把握し、それぞれの利点を活かせるように運用しましょう。

 

制度の概要

元々は、1960年代にアメリカで誕生した制度ですが、2001年に日本にも類似の制度が創設されました。

ただし、完全に同様の制度ではないため、米国REIT(REITs)に対して日本のREITという意味で”J-REIT”(ジェイリート)と呼ばれています。 

f:id:vifetto:20200503224711p:plain

  ※一般社団法人投資信託協会より引用 

 

創設された目的としては、

 

などが教科書的な説明とされています。

 

実際のところは、創設された2001年当時は、いわゆる”土地神話”が崩壊した後であり、不動産の買い手が不在でした。

そのため、REITを通して広く投資家から資金を募り、不動産市場を安定させることが大きな目的だったと考えられます。

 

なお、2020年現在は、好調な不動産市場を背景に、REIT市場は拡大の一途をたどっています。銘柄数、時価総額ともに増加傾向にあり、アセットの種類も多岐にわたります。

これからは、投資家からの資産運用先としての受け皿の役割が期待されることになり、役割が大きく変わりつつあります。

 f:id:vifetto:20200504010812j:plain

  

REITと株式との比較

大まかな違いは、「不動産のオーナーになる」か「会社のオーナーになる」かというイメージで把握しておけば問題ないと思います。

厳密には根拠となる法律が異なりますので、用語の使い分けがあります。また、税制面では、REITは要件を満たせば法人税が発生しない、という利点があります。
 f:id:vifetto:20200506165028p:plainf:id:vifetto:20200506164841p:plain
 
今後もよく見かけるであろう用語を簡単にまとめました。「投資主≒株主」として頭で置き換えることにより、混乱を防げると思います。
  f:id:vifetto:20200506170254p:plain
 
この他にも違いはありますが、当サイトでは「REITから得られるリターン」に焦点を当てていきます。
さらに仕組み等を知りたい方は、下記HP(一般社団法人不動産証券化協会)を参考にされることをお勧め致します。
 
東証REIT指数TOPIXの価格変動
東証REIT指数とは、東京証券取引所に上場するJ-REIT全銘柄を対象とした時価総額加重型の株価指数で、簡単にいえば「TOPIXREIT版」と認識しておけば大きな問題はありません。
 
2003年3月31日を基準日とし、その日の時価総額を1,000ポイントとしてその後の時価総額を指数化されています。
新規上場や増資などの影響は調整されていますので、REIT市場の推移を把握するのに適した指数です。
 
REITのメリットは「分配金利回りの良さ」と言っても過言ではなく、その影響が表れているグラフが下記になります。
配当なしの比較では「TOPIXREIT指数」となっていますが、配当を加味すると逆転していることが分かります。
 
■配当なし
f:id:vifetto:20200506181516p:plain

 

   ※一般社団法人不動産証券化協会HPより
 
■配当込み

f:id:vifetto:20200506181538p:plain

   ※一般社団法人不動産証券化協会HPより
 
また上記のグラフから、REIT指数とTOPIXの「逆相関」についても読み取ることができます。
両指数とも2009年付近を底として緩やかな上昇を描いていますが、上昇の過程においてTOPIXが下がれば、REIT指数が上がるいう関係性が見られます。
 
2020年以降のコロナ禍局面においては、市場の恐怖感が一気に高まり同時安となりましたが、過去の推移を考えると今後も価格の逆相関は機能するように思います。
 

[まとめ] 

REITと株式は根拠となる法律が異なるため、用語などの相違点は認識する必要がありますが、大まかに捉えることが出来れば問題ありません。

より大事なのは、資産運用の観点から株式と比較することです。

上記の通り「REITの分配金込み」で考えると、REITは魅力的な運用先と言えますので、株式同様に検討するべきだと思います。

 

ただし、REIT自体が不動産の投資信託であることから、REIT指数連動型のETFはおすすめ出来ません。信託報酬が二度発生するためです。

 

よって個別銘柄を選択し、運用することとなりますが、その際にアセット(用途)毎の特徴を把握する必要があります。

別記事にて、アセット毎の特徴や今後の見通しを記載しますので、銘柄選択にお役立て頂ければ幸いです。

 

、●が理由で破綻し、不動産市場は長年にわたり低迷することとなります