ひっそりとREIT研究

不動産鑑定士によるJ-REIT専門サイトです。

【資産配分】2020年5月PF。REITは高値圏のため3年は我慢。

[目次] 

REITは買えていない・・! 

 

R・ビフェットです。不動産鑑定士をしています。

2020年5月時点の私の資産運用にはREITを組み入れていません。

正直すぐにでもREITを組み入れたいのですが、高値圏で買えていません。

 

不動産価格は景気変動に敏感であり、おおよその価格サイクルを掴むことが肝要です。

そこで、REIT(≒不動産)の買い時はいつなのかを筆者の目線からお伝えします。  

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資産配分について

 

私の資産運用は著名投資家 バフェット氏の影響を大きく受けており、中でも

  • 自分が理解できる分野に投資する
  • 損をしないこと

を特に心に留めています。

 

恥ずかしい話ですが、

2016年にはテクニカル分析を自称して、バイオ株のアキュセラを購入していたことがあります。

今では当時の大損経験を活かして、あらかじめ定めた次の資産配分を目安としています。

<目安>

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<2020年5月時点>

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2020年4月末時点では株式が90%と最大です。

REITの記事を書いている当サイトですが、REIT比率は現状0%です。

 

理由は、先の通り高値圏にあると考えているからであり、

REITの制度面での優位性や保有物件の質を否定しているわけではありません。

実際、京阪神ビルディング㈱という不動産を保有・賃貸している会社に対し、2018年6月総会にて㈱ストラテジックキャピタルという会社が、次のような提案をしています。

・株主価値向上の観点からREITを設立するべきであること

㈱ストラテジックキャピタル「京阪神ビルディングの株主価値向上に向けて」HP

 

株式会社には法人税が課されますが、REITであれば要件を満たすことにより租税回避が可能です。

税制面での利点はREITの大きな強みであり、資産運用の一部に組み入れるべきだと考えています。

  

REITの買い時とは

 

【結論】不動産の価格サイクルが下降局面に入ってから

REIT金融商品の側面を有していますが、基本的には不動産市場に連動します。

不動産価格(土地価格)は次の通り推移すると考えています。

  • 長期的には「地方都市部から下落が始まり、その後都心部から回復」
  • 短期的には「分からない」

短期的な投資口価格は主に需給により決まりますが、そこは専門外ですので、長期的な価格形成の理由を記載します。

  

不動産は景気変動に非常に敏感

まず不動産全般に言えることですが、非常に景気に敏感であるという特徴があります。

不動産価格は概ね景気に連動して上昇し、景気後退局面では同じように緩やかに下落します。

つまり株式と同じく、景気変動の影響を大きく受けて価格が上下しやすい資産です。

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このグラフは「日経平均と不動産価格指数(東京都)」で、日経平均よりは緩やかですが概ね連動して推移しています。

REITと現物不動産は違うという意見はあるかと思いますが、基本的にはほとんど変わりありません。

REITが不動産を購入する際は、他の不動産業者と同じ土俵の入札に参加しますし、売却時にも他の業者と同様の手順を踏みます。

  

よって好不況により、REITが物件を安く買えるか高く買えるかが決まります。 

 

この好不況のタイミングを完全に計ることは出来ませんが、大きくゆったり動く価格の流れは数々の指標から読み取ることが出来ます。

幸い、日本には地価公示法という法律の下、国土交通省土地鑑定員会から地価公示が公表されますから、どのような変動をしているかが一目で分かり、高値圏を警戒することが出来ます。

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    ※国土交通省HPより

 

実際の価格推移(銀座のとある地点)

東京都中央区の銀座地区で、1986年から継続的に地価公示のポイントとなっている地点があります。東急プラザの東方に位置するポイントで、実際に確認すると次の通り上昇と下落を周期的に繰り返していることが分かります。

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一度下落が始まると翌年V字回復とはならず、ずるずると弱気な価格推移となります。

これは主に、不動産が下落している場合は株式などの他の資産も下落している場合が多く、利回り面での優位性が薄れ、裁定取引が働いているからだと考えられます。

また、不動産の買い手は事業会社などの法人がメインであり、直近下落に買い向かう意思決定が困難なことも考えられます。逆張り的な思考は、法人にとってはかなり大胆な経営方針で、それなりの責任が伴いますので、慎重にならざるを得ません。

 

一方、個人投資家は経営責任がありませんので、逆張りを自分が耐えうるリスクに応じて行うことが可能です。

下落トレンドは数年続く可能性が高いので、焦って飛びつくことにならないよう落ち着いて判断したいです。

 

目安としては少なくとも2~3年、長ければ5年の下落と考えて、筆者は買い向かう準備をしています。 

  

例外:一時的な要因で落ち込んだアセット

2020年1月以降、新型コロナウイルス拡大に伴う懸念が広がり、株式市場及びREIT市場に大きな影響が出ています。特にオフィス・ホテル・商業などは大きく売り込まれています。

 

暴落したアセットの中には、市場が悲観的になり過ぎているものもあり、筆者個人の考えではホテルが売られ過ぎだと考えています。

宿泊需要は今後永久に無くなるとは考えづらく、立地がいいホテルから徐々に稼働率は回復していくはずです。

ホテル系REITは変動賃料を組み込んでいるREITが大半で、稼働率の上昇に伴い分配金も2019年末の水準に回復すると、自然に投資口価格も上昇すると考えられます。

 

ただ、この考え方は逆張り寄りのため、REIT本来の分配金を着実に受け取るスタイルとはやや異なります。

インカムゲインに加えて、中期的なキャピタルゲインを得ることを目的とするため、資産に対して少額とする必要があると思います。

 

さらに、土地価格が下落局面になればホテルも影響を免れないため、ここでも注意が必要です。

 

以前に例としてジャパン・ホテル・リート投資法人の投資口価格を検証しました。

【検証】8985 ホテルリートの本質価値、コロナ契機に5割減!? - ひっそりとREIT研究

 

[まとめ]不動産市況にはサイクル有。落ち込んだホテルは買い場の可能性。

REITへの投資は地価公示などの制度を活用して、おおよその市況サイクルを把握する必要があります。

ちょうど底値のタイミングで買うことは難しいですが、高値掴みをして含み損を抱え続けることは回避可能だと思います。

 

そして、2020年の新型コロナウイルスによる影響を大きく受けているアセットについては、例えば回復が見込める好立地ホテルなどに少額づつ投資するということも有効だと考えています。

 

なお、投資する場合にはご自身の許容する範囲に留め、事前に試算されることをお勧め致します。

今回の記事が皆様のお役に立てば幸いです。

、●が理由で破綻し、不動産市場は長年にわたり低迷することとなります